再エネ主力電源化に資する再エネアグリゲーション技術の向上
株式会社エナリス
概要
エナリスは、再生可能エネルギー(再エネ)の主力電源化に向けて、発電量が変動しやすい再エネを束ねて制御する再エネアグリゲーション技術の向上にチャレンジします。
天候に発電量が左右されやすい再エネは電力系統運用にとって扱いが難しい電源です。再エネアグリゲーションとは、再エネ発電所を束ねるアグリゲーション技術を使って、計画上の発電量と実際の発電量の過不足(インバランス)を解消する仕組みです。
FIT制度見直しによるFIP制度への移行や、RE100達成のための非FIT再エネ電力へのニーズが増加する中、再エネ発電事業者と小売電気事業者の双方に再エネ発電によるインバランス発生リスクが生じます。エナリスは、2016年度からVPP実証として需要側のアグリゲーション技術の向上に取り組んできましたが、今後は発電側アグリゲーション技術の向上に取り組み、「需給一体調整」を実現し再エネ主力電源化を加速させます。
説明
■目標
再エネアグリゲーションに必要な技術や仕組みを開発・検証し、再エネ主力電源化に資する電力供給モデルを構築することです。
■課題と具体的なアクション
【課題】
天候に発電量が左右される再エネは、他の電源と比較して、電力系統運用に出力変動リスクへの対応が要求されます。今後再エネ主力電源化を達成するには、再エネ発電によるインバランス(出力変動)リスクの低減が大きな課題となっており、系統運用者のみならず、発電事業者と小売事業者にもリスク低減への寄与が求められます。
【具体的なアクション】
再エネ発電インバランスリスクのヘッジ手法としては大きく以下のことが考えられます。
- 精度の高い発電予測による、正確な発電計画の作成
- 再エネ発電所を束ねた発電バランシンググループ(BG)形成による出力変動の低減
- 時間前市場取引等を活用した発電バランシング
- 蓄電システムや制御可能な発電機制御による発電バランシング
- 発電BGと需要BGの連携による需給バランシング
2021年度は、主に以下の開発・検証を実施します。
- 自社で開発した発電予測モデルの検証
- PV余剰売電量予測の開発・検証
- 再エネ発電設備の最適なグルーピング(バランシンググループ=BG)により計画値同時同量を達成しやすくし、インバランスを低減させる“ならし効果”の検証
- 発電所に設置された蓄電池等をインバランス発生量に合わせて充放電する技術の検証
- 発電所に設置された蓄電池等を市場価格に連動して充放電する技術の検証
- 需要側分散電源(DER)のアグリゲーターでもあるエナリスの立場を活かし、発電側再エネアグリゲーションと需要側DERアグリゲーションを連携させて需給バランスをとる「需給一体調整」の検証
※ 本実証は、経済産業省「令和3年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」の採択を受け、パートナー企業とコンソーシアムを組成して実施します。
■チャレンジが実現した場合の成果
天候に発電量が左右されやすい再エネを大量導入しても、安定的に電力を供給するためのシステムが実現できます。再エネ主力電源化に欠かせないチャレンジです。